私は高校短距離選手を指導しています。
もちろん結果は出してほしいと思っています。
県大会でも勝ってほしいですし、東北大会も目指してほしいと思っています。
ただ、それと同じくらい大切にしていることがあります。
それは、高校で完成させないことです。
この言葉だけを見ると誤解されるかもしれません。
私は決して、
「高校では結果を出さなくていい」
と思っているわけではありません。
むしろ高校生だからこそ、今できる最高の結果を目指してほしいと思っています。
それでも私が高校で完成させることを目標にしていないのには理由があります。
高校で完成することが必ずしも良いとは限らない
指導者になってから様々な選手を見てきました。
その中で感じることがあります。
完成にも種類があるということです。
一つは、指導者が思い描いた形に作られた完成です。
もちろん高校年代で結果が出ることもあります。
しかし、大学や社会人になって環境が変わった時に、自分で修正できなくなることがあります。
高校時代は結果を出していたのに、大学では苦戦する。
そんな選手を見たこともあります。
もう一つは、燃え尽きてしまう完成です。
高校3年間を全力でやり切った。
悔いもない。
それは素晴らしいことです。
ただ、その反面、
「もうやり切った」
となってしまう選手もいます。
私はそれも少しもったいないと思っています。
競技人生は高校で終わりではないからです。
私自身は未完成だった
私は高校時代100m11.08でした。
決して悪い記録ではありません。
しかし今振り返ると、競技を理解していたとは言えません。
なぜこの練習をするのか。
何を身につけようとしているのか。
どこを改善しようとしているのか。
ほとんど考えていませんでした。
社会人になって競技を再開してからです。
動画を見返し、
考え、
試し、
修正する。
その繰り返しの中で少しずつ理解が深まりました。
結果として100m10.70まで記録を伸ばすことができました。
もし高校時代の私が完成していたら、ここまで伸びていなかったかもしれません。
高校で終わらない選手たち
ありがたいことに、私が指導した選手の中には卒業後も競技を続ける選手がいます。
以前紹介した100m10秒87の選手もその一人です。
高校時代に10秒台を出しました。
大学から推薦もいただきました。
しかし私から見れば、まだまだ未完成でした。
できていないこともありましたし、伸びる余地もありました。
だから私は今でも楽しみにしています。
大学でどんな選手になるのか。
社会人ではどうなるのか。
その続きを見てみたいと思っています。
嬉しい相談
卒業が近づくと進路相談を受けることがあります。
その中で私が嬉しいと感じる質問があります。
「どこの大学で陸上をやるのが合っていると思いますか?」
という相談です。
なぜ嬉しいのか。
その時点で、
「競技を続ける」
ことが前提になっているからです。
続けるかどうかを決めてほしいのではありません。
自分で続けることを決めた上で相談しているのです。
私はそういう選手を見ると嬉しくなります。
自分で考えているからです。
高校は通過点
私は結果を求めています。
県大会でも勝ってほしい。
東北大会にも行ってほしい。
全国大会だって目指してほしい。
しかし、それと同時に伸びしろも残してほしいと思っています。
高校卒業後も成長できる選手であってほしいと思っています。
もし教え子が大学で10秒50を出したとしても、それは私の手柄ではありません。
本人が努力した結果です。
そして大学の監督やコーチとの相性も良かったのだと思います。
高校の指導者ができることには限界があります。
だから私は、高校で完成させることよりも、その先でも成長できる選手を育てたいと思っています。
まとめ
私は高校で完成させたいとは思っていません。
それは結果を求めていないからではありません。
むしろ結果は求めています。
ただ、高校卒業後に伸びなくなることをゴールだとは思っていません。
高校は通過点です。
大学があります。
社会人があります。
その先の競技人生があります。
そして競技を通して身につけた、
考える力。
試す力。
修正する力。
それらは競技を離れても役立つものだと思っています。
だから私は今日も、高校生たちが高校卒業後も成長できるような土台作りを意識しながら指導を続けています。
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