私は高校短距離選手を指導していますが、結果を残す選手にはある共通点があります。
それは、
試合の中で修正できること
です。
もちろん身体能力や才能も重要です。
しかし、同じような能力を持った選手同士であれば、自分の走りを分析し、その場で修正できる選手の方が長く成長し続けます。
今回は、実際の教え子のエピソードを交えながら、その理由について書いてみたいと思います。
私が試合後に必ず聞くこと
試合後、私はいきなり答えを教えることはほとんどありません。
まず動画を見てもらいます。
そして、
「何が良かった?」
「何が修正点だと思う?」
と聞きます。
これは正解を当てるためではありません。
自分の走りを自分で分析する習慣を作るためです。
競技人生の中で、常に指導者が隣にいるわけではありません。
だからこそ、自分で見て、自分で考える力が必要だと思っています。
修正点は一度に一つだけ
選手が
「分かりません」
と言うこともあります。
そんな時は私も一緒に動画を見ます。
ただし伝えることは一つだけです。
短距離走は数秒の競技です。
試合中に
・スタート
・接地
・腕振り
・姿勢
を同時に修正することはできません。
だから一番大きな課題を一つだけ修正します。
結果として、その方が修正が成功することが多いように感じています。
実際に試合中に修正した選手
特に印象に残っている選手がいます。
高校2年生で100m10.87を記録した選手です。
地区インターハイ準決勝前。
予選の動画を確認すると、一歩目に課題がありました。
背中から力が抜けていたのです。
私が考えるスタートは、前あるいは斜め下へ力を伝えることです。
しかしその時は背中が丸まり、力が斜め上へ逃げていました。
結果として、一歩目から理想的なランニングフォームを作れていませんでした。
そこで修正したのはその一点だけです。
すると準決勝では明らかに改善されました。
さらに決勝前。
今度は後半部分を確認しました。
この選手は頑張ろうとする気持ちが強く、後半になると力みが出る傾向がありました。
そこで伝えたことは、
「頑張るのをやめよう」
でした。
短距離走は力を出し続ける競技ではありません。
特に後半は、力を出すというよりも流れを止めないことが重要です。
結果として決勝では動きが変わりました。
追い風参考ながら10.65。
そして初めて100mで全体一位になりました。
レース後に感想を聞くと、
「気持ちよかったです」
という言葉が返ってきました。
違和感もなく、ブレーキも感じなかったそうです。
良い走りができた時の選手は、タイムよりも先にこうした感覚を話すことが多いように思います。
私が動画で見ているポイント
試合後の動画では様々な部分を確認します。
速い選手が同じレースにいる場合は、その選手と比較します。
どこで差が生まれているのか。
技術的に何が違うのか。
そこを探します。
単独走の場合は、
・腰の切り替え
・身体の軸
・力み
を中心に見ています。
私は選手に、
「鳩尾から下を足だと思って走れ」
と伝えることがあります。
一般的には骨盤の切り替えという表現をされることもあります。
しかし私の考え方は少し違います。
骨盤だけを動かすのではなく、側筋や体幹も使いながら身体全体で脚を長く使うイメージです。
実際の脚の長さを変えることはできません。
しかし身体の使い方によって、より長い脚として機能させることはできます。
また腕振りも重要です。
肩甲骨から動いているのか。
肘や手首、指が支点になっていないか。
そういった部分も確認しています。
伸びる選手の共通点
伸びる選手に共通していることがあります。
まず素直であることです。
これは大前提です。
ただ、それだけでは足りません。
陸上競技は個人競技です。
ある程度の負けず嫌いさ。
あるいは我が道を行く強さも必要です。
周囲との協調性は大切です。
しかしエースや地区優勝を狙うレベルになると、自分の信じたことを貫く力も必要になります。
実際、これまで結果を出してきた選手たちにはそういった特徴がありました。
まとめ
私は技術そのものよりも、
「技術を修正できる力」
の方が大切だと思っています。
競技人生の中で、常に指導者が隣にいるわけではありません。
だからこそ、
見て
考えて
修正する。
その力が必要です。
実際に私自身も社会人になってから、自分の走りを動画で見続けることで記録を伸ばしてきました。
そして結果を出してきた選手たちにも共通していたのは、自分で考える習慣でした。
だから私は今日も選手に問いかけます。
「今の走りを見て、何が修正点だと思う?」
その問いに自分なりの答えを持てる選手こそ、これからも伸び続けるのだと思います。
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