指導をしていると、
「この選手は才能がありますか?」
と聞かれることがあります。
私自身、選手を見る時に将来性を感じることはあります。
ただ、その判断基準はタイムではありません。
むしろタイムだけを見ていると見落としてしまうものがあると思っています。
今回は、私が選手を見る時に何を見ているのかについて書いてみたいと思います。
タイムが速い選手に才能を感じるとは限らない
もちろんタイムは重要です。
100m11秒3の選手と11秒8の選手がいれば、普通は11秒3の選手の方が評価されると思います。
実際、私もタイムを全く見ないわけではありません。
ただ、タイムだけで将来性を判断することはほとんどありません。
なぜなら、今まで多くの選手を見てきた中で、
「今は速いけれど、その後あまり伸びない選手」
も見てきたからです。
逆に、
「今はそこまで速くないけれど、大きく伸びる選手」
も見てきました。
私が見ているのは別の部分です。
私が見ているのはドリル
私は選手を見る時、まずドリルを見ます。
走りを見る前にドリルを見ることもあります。
なぜならドリルには、その選手の理解度や修正能力が表れやすいからです。
私はこれまで何度も、
ハードルドリル
ミニハードルドリル
マークドリル
を指導してきました。
その中で感じることがあります。
伸びる選手は変化が早いのです。
もちろん最初から上手いとは限りません。
むしろ最初はできない選手もいます。
しかし、教わったことを試し、修正し、もう一度試す。
そのサイクルが非常に速いのです。
初日の練習で感じた違和感
以前、後に200mで地区大会優勝をした選手がいました。
その選手は特色選抜で入学してきた選手でした。
中学時代には全中へ出場したリレーメンバーの一人でもあります。
ただ、個人種目で全国レベルだったわけではありません。
当時の100mも11秒7〜11秒8前後だったと思います。
高校入学前の3月。
初めて練習へ参加した日のことです。
私はいつも通りドリルを指導しました。
すると、その選手は一日で腰の切り替えを理解してしまいました。
正直驚きました。
腰の切り替えは簡単に理解できるものではありません。
何週間もかかる選手もいます。
何ヶ月も苦戦する選手もいます。
それを初日でやってしまったのです。
この時、
「この選手は伸びるかもしれない」
と思いました。
私が見ているのは変化率
ここで勘違いしてほしくないことがあります。
私は腰の切り替えができる選手が全員速くなるとは思っていません。
私が見ていたのは技術そのものではありません。
変化率です。
教わる。
試す。
修正する。
変わる。
そのスピードです。
私は選手を見る時、この部分をとても重視しています。
なぜなら短距離走は、ただ走る競技ではなく学ぶ競技でもあるからです。
強豪私立より速くなった理由
その選手は最終的に200mで地区大会優勝を果たしました。
同じ地区には強豪私立高校もあります。
中学時代、一緒に全中へ出場したリレーメンバーの中には、その後強豪私立へ進学した選手もいました。
しかし結果として、その選手は個人種目で彼らを上回りました。
もちろん努力もあったと思います。
継続もありました。
ただ、私は最初に見た変化率の高さが大きかったと思っています。
才能とは学習速度かもしれない
最近になって思うことがあります。
私は才能を見ているつもりでした。
しかし本当に見ているのは学習速度なのかもしれません。
理解する速さ。
修正する速さ。
感覚を掴む速さ。
再現する速さ。
そういったものです。
だから私は現在のタイムだけで選手を判断しません。
今速いかどうかよりも、
どれだけ変われるか。
そちらの方が大切だと思っています。
まとめ
私は選手を見る時、最初にタイムを見ません。
見るのは変化です。
ドリルの中で何を感じるのか。
教わったことをどう吸収するのか。
修正した時にどれだけ変われるのか。
その積み重ねが大きな成長につながると思っています。
実際に私が才能を感じた選手も、タイムではなく変化率が印象的でした。
だから私は今日もタイムだけではなく、選手の変化を見ています。
その変化の中に、将来の可能性が隠れていることがあるからです。
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