なぜ力みが抜けないのか

短距離

陸上競技をしていると、

「もっと力を抜け」

「力みすぎている」

と言われることがあります。

しかし、力みが抜けない選手ほど真面目で、一生懸命走ろうとしていることが多いものです。

実際、私自身も力を抜くことが苦手な選手でした。

今回は、なぜ力みが抜けないのかについて解説します。

頑張るほど速くなると思っている

力みが抜けない選手に共通しているのは、

頑張るほど速く走れると思っていること

です。

速く走りたい。

良い記録を出したい。

勝ちたい。

そう思えば思うほど力が入ります。

そして、

もっと頑張る

↓

もっと力を入れる

↓

もっと速くなる

と考えてしまいます。

しかし、スプリントは単純に力を入れ続ければ速くなる競技ではありません。

むしろ力を入れ続けることで動きが固くなり、本来出せるスピードを失ってしまうことがあります。

小さい頃から「頑張れ」と言われている

私はこれも大きな原因だと思っています。

小学校の運動会。

体育の授業。

部活動。

多くの場面で、

「頑張れ」

という言葉を聞いて育ちます。

もちろん悪いことではありません。

しかし、その結果として

頑張る

↓

力を入れる

↓

良いこと

という考え方が身についてしまいます。

そのため、速く走ろうとした時に必要以上に力を入れてしまうのです。

私も力を抜くことが分からなかった

私自身、高校生の頃までは同じような考え方をしていました。

速く走るためには頑張る。

頑張るためには力を入れる。

そんな感覚でした。

しかし、高校時代にドリルをしている時、

指導者から

「一瞬だけ力を入れろ」

と言われました。

その時に私は、

「普段は力を抜いていいのか」

と気付きました。

今思えば当たり前のことですが、当時はかなり衝撃でした。

それまでの私は、力を入れ続けることが正しいと思っていたからです。

力みが抜けない選手の特徴

力みが抜けない選手は、体のどこか一部分だけではなく、全身に力が入っています。

例えば、

  • 肩が上がる
  • 首が固まる
  • 拳を強く握る
  • 顔がこわばる

といった特徴があります。

その中でも私がよく見るのは、

歯を食いしばっている選手

です。

歯を食いしばること自体が悪いわけではありません。

しかし、走り始めから最後まで食いしばっている場合は、全身が力んでいることが多いです。

動画を撮って確認すると、自分では気付いていないこともあります。

なぜ力みが抜けないと遅くなるのか

力みが抜けないと、必要な瞬間に力を発揮できなくなります。

スプリントは、

力を入れる

↓

力を抜く

↓

力を入れる

を繰り返して進みます。

ところが常に力が入っていると、この切り替えができません。

結果として、

  • 動きが小さくなる
  • 接地が重くなる
  • 腕振りが固くなる

などの問題が起こります。

本人は頑張っているのに、逆にスピードを失ってしまうのです。

私が「力を抜け」と言わない理由

私は力みが強い選手に対して、

「力を抜け」

とはあまり言いません。

なぜなら、本人は抜き方が分からないからです。

そこで私が伝えるのは、

どこで力を入れるか

です。

例えば、

「接地の瞬間だけ力を入れよう」

といった形です。

私は選手に、

接地の瞬間だけ100%、それ以外は0%でいい

と伝えることがあります。

もちろん実際に0%になるわけではありません。

しかし、そのくらいの意識の方が力みが抜けることが多いのです。

力を抜こうとするのではなく、力を入れる場所を限定する。

その方が上手くいく場合が少なくありません。

まとめ

力みが抜けない原因は、筋肉や柔軟性だけではありません。

多くの場合、

  • 頑張るほど速くなると思っている
  • 力を入れることが正しいと思っている
  • 力を抜く感覚が分からない

ことが原因です。

スプリントは力を入れ続ける競技ではありません。

必要な瞬間に力を発揮し、それ以外は余計な力を使わないことが重要です。

もし力みが抜けないと感じているなら、

「どこで力を抜くか」

ではなく、

「どこで力を入れるか」

を考えてみてください。

それだけで走りが変わることがあります。


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