私のチームでは週に1回、「ドリル祭」と呼んでいる練習を行っています。
内容としては、
・ハードルドリル
・ミニハードルドリル
・マークドリル
を繰り返し行う練習です。
理想はこの順番で行うことですが、部員数や環境によってはグループに分かれ、それぞれの種目からスタートすることもあります。
そして一通り終わったらまた最初に戻り、合計3周ほど行います。
この話をすると、
「そんなにドリルばかりやって速くなるの?」
と聞かれることがあります。
今回は私がドリル祭を続けている理由について書いていきたいと思います。
ドリルは走るための技術練習
私はドリルそのものが目的だとは考えていません。
あくまで目的は速く走ることです。
ドリルはそのための手段に過ぎません。
私がドリルを重視する理由は、走りの問題点が非常に分かりやすく見えるからです。
例えば、
・腰の切り替えができているか
・接地の位置や方法は適切か
・腕と足のタイミングが合っているか
・姿勢が崩れていないか
といったことは、全力疾走よりもドリルの方が確認しやすい場合があります。
全力で走っていると勢いや能力でごまかせてしまうことがあります。
しかしドリルではそうはいきません。
技術が身についているかどうかが、そのまま動きに表れます。
ゆっくりできるかが重要
私がドリル祭で特に重視していることがあります。
それは、
「どれだけゆっくりできるか」
です。
多くの選手は速く動こうとします。
しかし速く動くことは意外と簡単です。
勢いや反射で何となく動くこともできます。
本当に難しいのは、正しい動きを維持したままゆっくり動くことです。
ゆっくり動いても姿勢が崩れない。
接地が乱れない。
腰の切り替えができる。
腕と足のタイミングが合う。
これができる選手ほど、技術の理解度が高いと感じています。
逆に速く動けばできるように見えても、ゆっくりになると崩れてしまう場合は、まだ習得できていないことが多いです。
生まれつきの走り方を壊す作業
私は新入部員によく話すことがあります。
それは、
「陸上の走り方は自然な走り方とは少し違う」
ということです。
私たちは生まれてからずっと走っています。
しかし速く走るための技術を学んできたわけではありません。
日常生活の中で作られた走り方を持っています。
短距離競技では、その概念を一度壊さなければいけないことがあります。
だから最初は難しいのです。
実際、新入部員からは
「頭が疲れました」
と言われることがあります。
私はむしろ良いことだと思っています。
頭を使わずに技術は身につきません。
理解と実践を繰り返しながら、少しずつ新しい動きを覚えていく必要があります。
動画を使う理由
私のチームではドリル祭の様子を動画で撮影しています。
マネージャーが撮影することもありますし、選手同士で撮ることもあります。
その動画を見ながら、
「今日は何が良かったか」
「どこを修正するべきか」
を自分で考えます。
私は基本的に週3回程度しか直接指導できません。
そのため、残りの日は選手自身が考えて成長する必要があります。
また、私は大会によっては帯同できないこともあります。
だからこそ、
自分で判断できる選手になってほしい。
そのために動画を活用しています。
さらに練習動画はInstagramにも残しているため、
以前の自分との比較もしやすくなります。
成長の確認にも非常に役立っています。
ドリル祭で一番大切なこと
ドリル祭で私が最も大切にしていることは、
「ごまかさないこと」
です。
速く動けば何となくできているように見えることがあります。
しかし、それでは試合になったときに再現できません。
良い感覚をつかんだら、
もう一度できるか。
次の日もできるか。
一週間後もできるか。
試合でもできるか。
そこまで含めて技術だと思っています。
私はこれを再現性と呼んでいます。
ドリルだけでは速くならない
もちろん、ドリルだけで速くなるわけではありません。
ここはよく誤解される部分です。
ドリルで覚えた動きを実際の走りへ落とし込まなければ意味がありません。
ドリルはあくまで練習です。
最終的には100mや200mの走りの中で使えるようにならなければいけません。
だから私はドリル祭の後に、その感覚を走りの中で確認することも大切にしています。
実際に起きた変化
ドリル祭を続けていると、特に中学時代にたくさん走り込んできた選手ほど変化が見られます。
今まで力で走っていた選手が、技術で走る感覚を覚え始めるからです。
また、同じ地区の先生方からも、
「走りに間のある良い走りをする選手が多いですね」
と言っていただけるようになりました。
中学時代よりも一つ上のラウンドへ進める選手も増えています。
もちろん全てがドリル祭のおかげとは思いません。
しかし、選手自身が自分の身体を理解し、自分で修正できるようになるきっかけにはなっていると感じています。
まとめ
私にとってドリル祭は、単なるウォーミングアップでも補強でもありません。
自分の身体の使い方を学ぶための時間です。
短距離走は感覚だけで上達するものではありません。
理解し、考え、試し、修正する。
その繰り返しの中で技術が身についていきます。
だからこそ私は今後もドリル祭を続けていきます。
速く走るためではなく、速く走れる身体の使い方を学ぶために。
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