高校の短距離指導では、走り込みを多く取り入れるチームも少なくありません。
実際、地区内の強豪私立高校では多くの走行距離を確保しながらチームを作っているところもあります。
一方で、私が指導しているチームは決して走行距離が多いチームではありません。むしろ地区の強豪校と比較すれば3分の1程度かもしれません。
それでも県大会上位入賞や東北大会出場、インターハイ出場を目標に取り組み、実際に結果を残してきました。
今回は、私が走り込みを重視しない理由について書いていきたいと思います。
なぜ走り込みが行われるのか
まず最初に、私は走り込みそのものを否定しているわけではありません。
走り込みには心肺機能の向上や基礎体力の養成、精神的な強さの育成など、様々な目的があります。
特に中学生年代においては、競技力向上以前に身体づくりや運動習慣の定着という意味でも有効な練習だと考えています。
また、多くの強豪校が取り入れている以上、その方法で結果を出している指導者がいることも事実です。
しかし、短距離競技は最終的に「速く走る技術」を競う種目です。
私は短距離競技において最も重要なのは技術だと考えています。
私のチームが技術練習を重視する理由
短距離走は単純に体力だけで決まる競技ではありません。
同じ筋力を持っていても、接地の仕方や姿勢、身体の使い方によってタイムは大きく変わります。
私は高校生という年代だからこそ、まずは技術を身につけることが重要だと考えています。
走行距離を増やすよりも、
・どう接地するのか
・どこで力を使うのか
・どこで力を抜くのか
を理解する方が将来的な価値は大きいと思っています。
私自身、高校時代のベストは100m11.08、200m22.72でした。
決して全国レベルの選手ではありませんでしたが、競技を継続しながら試行錯誤を重ね、社会人になってから100m10.70、200m21.54まで記録を伸ばすことができました。
現在選手たちに指導している内容の多くは、その過程で実際に私自身が取り組み、効果を感じたものです。
また、高校時代に指導していただいた顧問の先生も、現在の私と近い考え方で練習を組み立てていました。
当時は理解できなかったこともありましたが、自分自身が競技を続けたことで、その考え方の意味を実感するようになりました。
高校卒業後も伸びる選手であってほしい
私が特に大切にしている考え方があります。
それは「高校で完成させない」ということです。
高校で結果を出すことはもちろん大切です。
しかし、高校卒業後も競技を続ける選手はいます。
大学や社会人になってから大きく伸びる選手もいます。
私自身も高校卒業後に競技を継続し、社会人になってから大幅にベストを更新しました。
高校時代に走行距離だけで結果を出したとしても、その後に伸び悩んでしまうのであれば、長い目で見ると良い指導とは言えないかもしれません。
だからこそ私は、将来的に自分で考え、自分で改善できる選手になってほしいと思っています。
高校卒業後にさらに大きく成長できる余地を残すことも、指導者として大切な役割の一つだと考えています。
指導者として変化したこと
指導を始めた当初と現在では、考え方も少し変わりました。
以前は自分自身も選手と一緒に走りながらチームを引っ張る場面がありました。
当時の私は選手たちより速く走ることができたため、「10秒台は特別な世界ではない」ということを示したいという思いもありました。
また、県立高校でも努力次第で上を目指せることを伝えたかったという気持ちもあります。
しかし現在ではチーム内にも10秒台の選手が生まれ、選手たち自身が高いレベルを現実的な目標として捉えられるようになってきました。
また、私自身も現在27歳で今年28歳になります。
いつまでも選手たちと同じように走っていられるわけではありません(笑)。
そのため、現在は私自身が走って見せるよりも、選手自身が考えながら成長できる環境づくりを優先しています。
走ることで示す指導から、考え方を伝える指導へ。
少しずつではありますが、指導者としての役割も変化してきたように感じています。
まとめ
走り込みを否定したいわけではありません。
ただ、私自身は短距離競技において技術が持つ価値を大きく感じています。
そしてその考え方は、自分自身が競技を続ける中で得た経験や、高校時代に受けた指導の影響によって形作られてきました。
高校時代だけで終わらない選手育成。
高校卒業後も競技を続け、さらに成長できる選手を育てること。
そのために今後も技術練習を中心に試行錯誤を続けていきたいと思います。
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