私は10秒87で走った選手を指導したことがある。
地区大会で優勝する選手もいる。
それでも最近、一番考えているのはそこではない。
私が本当に知りたいのは、13〜14秒台の選手を11秒台にする方法だ。
競技者だった頃の私は、その世界を知らなかった。
私は何も知らなくても11秒台で走れていた。
だから高校1年生で13〜14秒かかる選手が珍しくないことを、指導者になって初めて知った。
そして、その中には真面目に練習する選手もたくさんいた。
私はそういう選手を見ると考えてしまう。
「この子は本当にここが限界なんだろうか」
と。
12秒前半までは来た
今の3年生にも、入学当初は13秒台だった選手がいる。
真面目に練習する選手だった。
メモも取る。
話も聞く。
練習も休まない。
その結果、12秒前半までは来た。
多くの人は十分成長したと言うと思う。
私もそう思う。
実際、13秒台から12秒前半になれば立派な成長だ。
しかし私は満足していない。
正直に言えば、11秒7〜9くらいまでは行けたと思っている。
だから今でも考えている。
あの子に足りなかったものは何だったのか。
何を伝え切れなかったのか。
そして、もしかしたら足りなかったのは私の方だったのかもしれない。
私は今でもその答えを探している。
11秒台はただの数字ではない
11秒7。
11秒8。
11秒9。
数字だけ見れば大した違いではない。
しかし高校生にとっては大きな意味がある。
13秒台では大会で勝負になることは少ない。
11秒台になると景色が変わる。
予選突破が見えてくる。
地区大会で勝負できる。
リレーでも戦力になる。
競技者として扱われるようになる。
そして何より、自分自身が変わる。
私は将来、
「高校の時、11秒台では走ってましたよ」
と言える経験は大きいと思っている。
11秒7という数字そのものではない。
自分は本気で挑戦したと言える経験。
それが大事なのだと思う。
私は能力差別が嫌いだ
完全に個人的な考えだ。
私は能力差による差別が嫌いだ。
以前、某大学の監督は日本一になれる可能性のある選手以外は見なかった、という話を聞いたことがある。
それが事実かどうかは分からないし、仮にそうだったとしても日本一を目指す組織なら合理的なのかもしれない。
私はその考え方を否定するつもりはない。
ただ、私にはできない。
私は県立高校の指導者だからだ。
スカウト制度もない。
来てくれた選手が全てだ。
そして何より、本気で頑張っている選手に対して、
「君は才能がないから」
という扱いをするのは失礼だと思う。
だから私は全員を見る。
速い選手だけではない。
13秒台の選手も見る。
14秒台の選手も見る。
それが私の指導だ。
私が一番失敗だと思うこと
私が指導者として一番失敗だと思うのは、試合で負けることではない。
記録が伸びないことでもない。
選手が競技に絶望して辞めることだ。
実は私自身、サッカーを辞めた経験がある。
今振り返れば、そこまで深刻な話ではなかったのかもしれない。
それでも当時の私は思った。
「この部活に自分の居場所はない」
と。
競技が嫌いになったわけではない。
サッカーが嫌いになったわけでもない。
ただ、自分がそこにいていい人間だと思えなくなった。
だから辞めた。
私は選手にそう思わせたくない。
だから見放したくない。
だから戦わせたい。
だから11秒台にこだわる。
全部繋がっている。
人間なら10秒台は出せると思っている
私は本気でそう思っている。
もちろん高校3年間で全員が出せるとは思っていない。
大学かもしれない。
社会人かもしれない。
30歳かもしれない。
それでも私は、人間の可能性をそんな簡単に決めたくない。
私は高校時代11秒08だった。
しかし社会人になって10秒70まで伸びた。
だから高校で完成するとは思わない。
だから高校で限界を決めるつもりもない。
選手にもそう伝えたい。
私は13秒台の選手を11秒台にしたい
私は13秒台の選手を11秒台にしたい。
それは11秒台という数字が欲しいからではない。
その選手が、
「どうせ無理だ」
と諦めてしまう前に、
自分の可能性に挑戦してほしいからだ。
11秒7まで行って満足したなら、それでいい。
やり切ったと思えたなら、それでいい。
しかし、まだ可能性が残っているのに自分で終わらせてしまうのは違うと思う。
私は今も13秒台の選手を11秒台にする方法を知らない。
だから考え続けている。
たぶん今の私に足りない最後のパーツはそこにある。
そして、その答えを見つけるまで私は指導を続けるのだと思う。
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11秒台になる選手とそうでない選手の違いは何か。
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「腰の切り替えとは何か」
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