私は高校の短距離選手を指導しています。
指導をしていると、
「この教え方で本当に合っているのだろうか」
と思うことがあります。
特に高校生を相手にしていると、
もっと上のレベルでは違うことを教えているのではないかと思うこともあります。
そんな中、少し安心した出来事がありました。
私が指導していた選手が大学へ進学した時の話です。
100m10秒87まで伸びた選手
その選手は高校時代、100mで10秒87まで記録を伸ばしました。
中学時代は特別有名な選手ではありませんでした。
しかし高校で競技を続け、
試行錯誤を繰り返しながら成長していきました。
私も普段から動画を見ながら話をしたり、
試合後に修正点を一緒に考えたりしていました。
特別なことをしていたわけではありません。
ただ、
「なぜそうなるのか」
を考えることは大切にしていました。
大学で元日本代表の指導を受けることになった
高校卒業後、その選手は大学でも競技を続けました。
大学には元日本代表として活躍していた監督がいました。
私からすれば、
自分よりはるかに高いレベルで競技を経験してきた方です。
当然、もっと高度な理論や特別な指導を受けるのだろうと思っていました。
しかし後日、その選手から話を聞いて驚きました。
言われていたことは同じだった
監督から指摘されていた内容は、
高校時代に私が伝えていたことと非常によく似ていました。
スタート時の腰の高さ。
膝の角度。
スタート後の前傾姿勢の作り方。
特別な秘密ではありません。
むしろ基本的なことです。
私はその話を聞いた時、
嬉しかったというより安心しました。
高校時代に伝えていたことが、大きく間違っていなかったのだと思えたからです。
レベルが上がっても本質は変わらない
競技レベルが上がれば、
全く違う世界が待っているように感じることがあります。
しかし実際には、
レベルが上がっても本質は大きく変わらないのかもしれません。
スタート。
前傾。
接地。
加重。
基本となる部分を突き詰めていく。
それは高校生でも、
大学生でも、
トップレベルの選手でも同じです。
もちろん求められる精度は違います。
しかし方向性そのものが大きく変わるわけではありません。
私が本当に安心したこと
ただ、私が本当に安心したのは技術の話ではありません。
その選手が大学でも競技を続け、
新しい環境で学び続けていたことです。
さらに後輩へ自分の考えを説明している姿を見る機会もありました。
接地について。
加重について。
なぜそうなるのか。
身体の中で何が起きているのか。
自分の言葉で説明していました。
その姿を見た時、
もう私がいなくても成長できると思いました。
最後に
大学へ進学したその選手は、
今でも違う指導者から様々なアドバイスを受けています。
それでも話を聞いていると、
結局同じようなことを言われ続けています。
人が変わっても、
レベルが変わっても、
本質はあまり変わらないのかもしれません。
そして私は、それを聞いて安心しています。
なぜなら、
高校時代に伝えていたことが正しかったからではありません。
競技の本質に近い部分を伝えられていたのだと思えたからです。
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