私は選手によく、
「もっと指導者を使え」
と言う。
最初は意味が分からなかった選手もいたと思う。
しかし指導を続ける中で、私はあることに気付いた。
伸びる選手は指導者を上手く使う。
そして、その使い方には共通点がある。
私は指導者を使えない選手だった
実は私自身、選手時代は指導者を上手く使えなかった。
何を聞けばいいのか分からなかった。
聞いたとしても理解できるレベルではなかった。
だから質問も少なかった。
今思えば、かなりもったいなかったと思う。
「アドバイスください」では難しい
選手から
「何が悪いですか?」
「アドバイスください」
と言われることがある。
もちろん答える。
しかし正直に言えば難しい。
なぜなら、指導者の頭の中にはたくさんの引き出しがあるからだ。
接地。
腰の切り替え。
加重。
力み。
リズム。
腕振り。
スタート。
前傾姿勢。
その他にもたくさんある。
「アドバイスください」
と言われると、その引き出しを一つずつ開けて確認しなければならない。
良い質問は指導者の引き出しを開く
ある選手はこう聞いてくる。
「接地が悪い気がするんですが、腰の切り替えが遅いですか?」
すると私はまず、
接地の引き出しを開く。
次に腰の切り替えの引き出しを開く。
そこから動画や動きを見ながら考える。
結果として、
「いや、腰じゃなくて接地だな」
となることもある。
逆に、
「接地だと思ったけど腰だな」
となることもある。
大事なのは、その選手の仮説が当たることではない。
仮説を持ってくることだ。
良い質問とは正しい質問ではない。
良い質問とは、指導者の引き出しを開く質問である。
質問力の高い選手は何が違うのか
質問力の高い選手は、練習が終わった後も考えている。
動画を見る。
メモを書く。
仮説を立てる。
そして次の練習で試す。
さらに質問する。
だから質問の質が高い。
質問のために考えているのではない。
考え続けているから質問が生まれるのだ。
指導者が答えを持っているとは限らない
私は指導者を万能な存在だとは思っていない。
もちろん経験から答えを持っていることもある。
しかし、答えが見つかっていないこともある。
そんな時でも質問には価値がある。
なぜなら、一緒に考えることができるからだ。
選手の質問がきっかけで、新しい気付きが生まれることもある。
私自身、選手からの質問で考え方が変わったことは何度もある。
だから私は質問に嫌な顔をしたくない。
答えを知らないから嫌なのではない。
むしろ、一緒に答えを探せるチャンスだからだ。
指導者を使うということ
私は選手に指導者を使ってほしいと思っている。
それは答えを教えてもらうためだけではない。
自分で考えたことをぶつけるためでもある。
指導者の知識を引き出すためでもある。
そして時には、指導者と一緒に答えを探すためでもある。
伸びる選手は、指導者を上手く使う。
そして私は、そんな選手からの質問を歓迎したいと思っている。
あわせて読みたい

質問の量ではなく、質問の質が変わる時に選手は大きく成長する。

答えを渡すことと、成長させることは必ずしも同じではない。

考えることは大切だ。しかし本当に必要なのは、考えたことを行動に変える力である。



コメント