選手が伸び始める時には共通点があります。
タイムではありません。
フォームでもありません。
質問が変わります。
私はこれまで多くの選手の動画を見てきました。
そして、伸びる選手と伸び悩む選手では、動画を持ってくる時の言葉が少しずつ変わっていくことに気付きました。
「どう思いますか?」から始まる
競技を始めたばかりの頃は、
動画を見ても何が良いのか悪いのか分かりません。
だから選手は聞きます。
「どう思いますか?」
これは悪いことではありません。
私も一年生にはたくさん教えます。
腰の切り替え。
軸。
動画の見方。
練習メモの書き方。
まずは判断するための材料が必要だからです。
少しずつ質問が変わる
しかし、ある程度経験を積むと変化が出てきます。
動画を見た後に、
「ここが原因だと思うんですけど」
と言うようになります。
あるいは、
「こう修正しようと思うんですが」
と言うようになります。
まだ答えを持っているわけではありません。
それでも、自分なりの考えを持ってから聞きに来ます。
私はこの変化をとても大切にしています。
なぜなら、考える作業を自分で始めているからです。
自走する選手は確認に来る
さらに伸びる選手は少し変わります。
動画を持ってきます。
しかし、答えを聞きに来るわけではありません。
「確認お願いします」
と言います。
最初は少し驚きました。
なぜなら、私の役割が変わるからです。
今までは教える側でした。
しかし、この段階になると選手は自分で考えています。
自分で動画を見ています。
自分で修正案を持っています。
私に求めているのは答えではありません。
点検です。
自分が考えたことがズレていないか。
自分が見落としていることはないか。
それを確認しに来ているのです。
自走する瞬間は見えない
面白いことに、選手が自走し始める瞬間を私は知りません。
気付いたら変わっています。
最近聞きに来ないな。
そう思っていたら、
ある日動画を持ってきます。
そして、
「ここが原因だと思うんですけど」
と言います。
話を聞いていると、
私が考えていたこととほとんど同じだったりします。
その時になって初めて、
「あれ?もうそこまで来ていたんだ」
と気付きます。
だから私は、自走する瞬間を見たことがありません。
見ているのは結果だけです。
私も試されている気がする
最近は、
「確認お願いします」
と言う選手が少しずつ増えてきました。
正直、まだ慣れていません。
自分も試されているような気がするからです。
選手は自分で考えています。
その考えを持って私のところへ来ます。
私はその考えを見て、
本当にそれで良いのかを判断します。
昔のように答えを渡すだけではありません。
選手の成長と一緒に、指導者にも新しい役割が増えていくのだと思います。
伸びる選手は質問の目的が変わる
伸びない選手が悪いわけではありません。
最初は誰でも、
「どう思いますか?」
から始まります。
しかし成長するにつれて、
「ここが原因だと思うんですけど」
になり、
やがて
「確認お願いします」
になります。
質問がなくなるわけではありません。
質問の目的が変わるのです。
答えを求める質問から、
点検を求める質問へ。
私は、その変化が見えた時に選手の成長を感じます。
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