私が最初に教えるのはスタートでも腕振りでもない。腰の切り替えである

指導論

短距離を指導していると、

「スタートを教えてください」

「腕振りを教えてください」

と言われることがあります。

もちろんどちらも大切です。

しかし私が最初に教えるのは違います。

腰の切り替えです。

なぜなら、腰の切り替えは一つの技術ではなく、すべての土台だからです。

腰の切り替えは短距離技術ではない

私は腰の切り替えを短距離だけの技術だと思っていません。

高跳びにも。

幅跳びにも。

やり投げにも。

共通しています。

実際、私の恩師も跳躍を専門としていました。

そして短距離だけではなく、様々な種目の選手へ腰の切り替えを指導していました。

私はその考え方を今も大切にしています。

だからこそ、最初に教えます。

短距離技術だからではありません。

陸上競技の根幹だからです。

腰の切り替えを教えないと選手は迷子になる

腕振りを教える。

接地を教える。

加重を教える。

どれも大切です。

しかし私は最初には教えません。

なぜなら土台がないからです。

腰の切り替えが分からないまま腕振りを修正すると、腕だけを意識した走りになります。

加重を教えると、地面を押そうとします。

接地を教えると、足元ばかりを見るようになります。

結果として選手は迷子になります。

私自身がそうでした。

だから私は最初に腰の切り替えを教えます。

私が最初に見た変化はフォームだった

私が初めて腰の切り替えをチーム全体へ教えたのは、指導を始めた最初の年でした。

1年生から3年生まで全員にミニハードルドリルを教えました。

その時に最初に変わったのはフォームでした。

タイムではありません。

フォームです。

そして面白いことに、表情まで変わりました。

動きやすそうな顔になるのです。

その後にタイムがついてきます。

私は何度もその光景を見てきました。

腰の切り替えの正体は重心移動だと思う

腰の切り替えと言うと、

腰を振ることだと思われることがあります。

しかし私はそう考えていません。

腰の切り替えの正体は重心移動だと思っています。

重心が移動する。

だから脚が動く。

だから身体が進む。

順番はそちらです。

脚を動かした結果として重心が移動するのではありません。

重心が移動した結果として脚が動くのです。

ほとんどの速い選手は無意識にやっている

ここが私にとって一番大切な部分です。

腰の切り替えは、競技力の高い選手であれば無意識にできていることが多いです。

だから説明できません。

「なんとなくできる」

で終わってしまいます。

しかし競技力が高くない選手は、その感覚を持っていません。

だから私は言語化します。

無意識にできていることを言葉にして伝えます。

それが競技力向上のきっかけになると考えているからです。

理解できる選手とできない選手

腰の切り替えを理解する選手には共通点があります。

素直なことです。

ただし、言われたことをそのままやるという意味ではありません。

自分の固定概念を一度捨てられる選手です。

逆に固定概念を崩せない選手は苦戦します。

また、全く考えない選手も苦戦します。

私はいつもその中間を探しています。

なぜ私は腰の切り替えを教え続けるのか

たまに選手から聞かれます。

「なんでそんなに腰の切り替えばかり言うんですか?」

と。

その時の答えは決まっています。

競技力向上に必要なことの多くは、上手い選手が無意識にやっていることだからです。

それを競技力が高くない選手へ伝えるために、私は腰の切り替えを教えています。

例えるなら『HUNTER×HUNTER』でゴンとキルアが念を流し込まれて感覚を知ったようなものです。

まず感覚を知る。

そのあとに理解する。

私はその入口を作りたいのです。

まとめ

私はスタートより先に腰の切り替えを教えます。

腕振りより先に腰の切り替えを教えます。

それは腰の切り替えが特別な技術だからではありません。

前回転も。

加重も。

接地も。

その先にある多くの技術の土台だからです。

そして私はこれからも、無意識にできていることを言語化しながら選手へ伝えていきたいと思います。

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