前回転と後ろ回転の違い|なぜ11秒2前後で伸び悩むのか

短距離

高校短距離選手を見ていると、

真面目に練習しているのにタイムが伸びなくなる選手がいます。

私の経験上、そのような選手に共通していることがあります。

それが後ろ回転です。

今回は私が指導の中で重要視している「前回転」と「後ろ回転」の違いについて解説します。

後ろ回転とは

後ろ回転の選手には分かりやすい特徴があります。

それは、

足裏が身体の後ろで空を向いていることです。

脚を速く回そうとするあまり、身体ではなく脚だけが回っています。

本人は一生懸命走っています。

しかし実際には身体全体を前へ運べていません。

高校生では非常によく見られる走りです。

後ろ回転でもある程度までは速くなれる

ここで勘違いしてはいけません。

後ろ回転だから遅いわけではありません。

実際に後ろ回転でも11秒台前半までは到達できます。

私の感覚では、

11秒5〜11秒2前後までは後ろ回転でも十分可能です。

しかし、その先で壁にぶつかります。

なぜなら走りの効率に限界があるからです。

前回転とは

私が考える前回転の特徴は2つあります。

1つ目は、

接地した際に遊脚の膝が接地足を追い越していること。

2つ目は、

加重が乗ったタイミングで遊脚側の前ももが胴体に対して90度付近まで上がっていることです。

この状態になると脚だけではなく、身体全体が前へ回転します。

私はこれを前回転と呼んでいます。

なぜ前回転の方が速いのか

ここで重要になるのが重心です。

後ろ回転の選手は腰の切り替えが起きません。

すると重心が低くなります。

重心が低いまま走ると、接地位置が身体より前になりやすくなります。

接地位置が前になると、

そのまま身体の後ろまで長く足を引っ張ることになります。

結果として接地時間が長くなります。

脚で地面を押し続ける必要があるため、足の力を多く使う走りになります。

一方で前回転の選手は腰が切り替わります。

すると重心が高くなります。

重心が高くなると接地位置が身体に近付きます。

接地位置が近いことで加重しやすくなり、

地面に力を伝えた後すぐに離地できます。

その結果、

次の腰の切り替えへ素早く移行できます。

これがピッチ向上にも繋がります。

前回転になると何が変わるのか

一番大きな変化は、

楽になることです。

今までより力を使わなくても進みます。

接地時間も短くなります。

ピッチも上がります。

そして走り終わった時の疲労感も変わります。

私自身、

前回転を覚える前はハムストリングスばかり疲れていました。

しかし覚えた後は全身、特に身体の前側に疲労を感じるようになりました。

私自身の経験

私は高校時代、部活帰りの立ち漕ぎのママチャリで腰の切り替えを理解しました。

その時に感じたのは、

「頑張らなくても体重が乗ると勝手に進む」

という感覚でした。

翌日の練習で試した時、

「あ、これだ」

と思いました。

私はその時に前回転を覚えたのだと思っています。

その後は加重のタイミングや腕振りを修正しながら、高校ベスト11.08まで記録を伸ばしました。

前回転を覚えるために

私が最初に行うのは腰の切り替えの指導です。

前回転は脚だけでは作れません。

腰の切り替えによって重心位置が変わり、接地位置が変わり、加重が変わります。

また、

  • ハードルドリル
  • ミニハードルドリル

なども有効です。

まずは大きく腰を動かす感覚を覚えること。

そこから走りへ繋げていきます。

まとめ

後ろ回転でもある程度までは速くなれます。

しかし、その先へ進むためには前回転が必要です。

私自身も前回転を覚えたことで走りが大きく変わりました。

もし11秒台前半で伸び悩んでいるのであれば、

脚を回そうとしていないか。

身体全体で前へ回転できているか。

一度確認してみる価値はあると思います。

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