陸上をやっていると、一度は速い選手のフォームを真似したことがあると思います。
YouTubeでトップ選手の動画を見る。
腕振りを真似する。
前傾姿勢を真似する。
接地の位置を真似する。
しかし、不思議なことに速くならないことがあります。
私自身は現役時代、他人のフォームを真似しようと思ったことがほとんどありませんでした。
正直、自分以外にあまり興味がなかったからです。
しかし指導者になってからは、選手に対して「この選手の動画を見てみろ」と言うことがあります。
では、何が違うのでしょうか。
動画に映るのは結果であって原因ではない
フォームを見ていると、どうしても目に入りやすいものがあります。
それは結果です。
例えば、
- 接地位置
- 腕振り
- 前傾姿勢
- ストライド
こういったものは動画を見れば分かります。
しかし、その動きがなぜ生まれているのかまでは映りません。
骨格。
可動域。
筋力。
力の伝え方。
その選手が持っている感覚。
こういった部分は動画では分からないのです。
見えるのは結果。
見えないのは原因。
私はこの違いが大きいと思っています。
フォアフット接地を真似した選手
以前、フラット接地とフォアフット接地について解説している動画を見た選手がいました。
動画を見たその選手は、
「フォアフット接地の方が速いんだ」
と思ったのでしょう。
次の日から無理にフォアフット接地を始めました。
当然、走りはおかしくなりました。
その選手が真似したのは接地ではありません。
接地の「形」です。
私が見てほしかったのは、
なぜその選手がその接地になっているのかでした。
しかし動画ではそこまでは見えません。
だから形だけを真似すると失敗することがあります。
私が動画を見ることを否定しない理由
とはいえ、私は選手に動画を見るなとは言いません。
むしろ見るべきだと思っています。
実際に私は、
「この選手の動画を見てみろ」
と言うことがあります。
例えば、多田修平選手。
別の選手には鵜澤飛羽選手。
そういった選手の動画を参考にさせることがあります。
ただし、誰でも良いわけではありません。
骨格や走り方が近い選手を選びます。
なぜなら参考になる可能性が高いからです。
逆に、世界トップ選手の走りをそのまま真似しても参考にならないこともあります。
私が必ず聞くこと
動画を見た選手には必ず聞くことがあります。
「何が参考になると思った?」
です。
そして、
「それは本当に君に合うと思う?」
とも聞きます。
SNSには素晴らしい情報もあります。
しかし、平気で変な感覚を植え付ける情報もあります。
選手自身が骨格や身体特性まで見極めるのは難しいでしょう。
だからこそ、見た後に考えることが大切です。
そして指導者や仲間と話すことが大切です。
真似するなと言いたいわけではない
私はフォームを真似することを否定しているわけではありません。
参考になる部分はあります。
実際に私も選手に動画を見ることを勧めています。
ただし、走り方全体をそのまま真似しても意味はありません。
大切なのは、
なぜその動きになっているのか。
何が速さを生み出しているのか。
そこを考えることです。
動画を見る。
考える。
相談する。
試してみる。
その順番を飛ばして、
いきなり真似をしてしまうと遠回りになることがあります。
だから私は、速い選手のフォームを見る時こそ、
「何が参考になると思った?」
と選手に聞くようにしています。
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