現在、私は高校の部活動指導員として短距離選手の指導をしています。
指導者として見られることも増えましたが、もともとは特別な実績を持った選手だったわけではありません。
高校時代の自己ベストは100m11.08、200m22.72。
全国大会とは無縁の、ごく普通の県内選手でした。
それでも社会人になってから100m10.70、200m21.54まで記録を伸ばすことができました。
今回は、私自身がどのような過程を経てタイムを伸ばしてきたのかを書いてみたいと思います。
サッカー部から陸上部へ
実は私は中学時代、陸上ではなくサッカーをしていました。
高校に入学してからもサッカー部に所属しており、高校1年生のゴールデンウィーク前まではサッカー部員でした。
陸上を始めたきっかけは、決して前向きなものではありません。
当時、私は自分より実力が下だと思っていた先輩たちよりも下のチームに配置されていました。
今思えば未熟だったと思いますが、そのことに納得がいきませんでした。
そんな時、隣で練習していた陸上部の姿が目に入りました。
「陸上で結果を出して見返してやろう」
それが陸上を始めた理由です。
今振り返ると少し恥ずかしい動機ですが、あの時の悔しさがなければ陸上を続けていなかったかもしれません。
高校時代は速くなりたかっただけだった
高校では技術練習が多い環境でした。
現在の私の考え方にもつながるような内容がたくさん含まれていました。
しかし、当時の私はその意味をほとんど理解していませんでした。
「なぜこのドリルをするのか」
「何を改善するための練習なのか」
そういったことを深く考えたことはありませんでした。
とにかく速くなりたい。
ただそれだけでした。
今だから言えますが、練習を面倒に感じることもありましたし、怪我を理由に休んだこともありました。
もちろん本当に怪我をしていた時もありますが、今振り返ればもっと真剣に向き合えたはずだと思います。
高校時代のベストは100m11.08。
決して悪い記録ではありませんが、自分が思い描いていたレベルには届きませんでした。
社会人になってもう一度競技を始めた
大学卒業後、一度は競技から離れました。
しかし、社会人になるタイミングで知人から声をかけてもらい、社会人チームを結成する話が持ち上がりました。
「もう一度本気でやってみよう」
そう思い、競技を再開しました。
ところが、練習内容は高校時代と大きく変わっていません。
むしろ多くは高校時代の練習の再利用でした。
それでも結果は大きく変わりました。
なぜか。
それは練習そのものではなく、練習への向き合い方が変わったからです。
変えたのは練習ではなく見方だった
社会人になってから私が徹底したことがあります。
それは動画を撮ることです。
練習でも試合でも、とにかく自分の走りを撮影しました。
そして毎回見返しました。
どこが良かったのか。
どこが悪かったのか。
どうすれば改善できるのか。
以前の私は練習をこなして終わりでした。
しかし社会人になってからは、自分で考える時間が圧倒的に増えました。
同じ練習でも見方が変わるだけで得られるものは大きく変わります。
私を変えた重心の考え方
社会人2年目。
11.25だった記録が10.70まで伸びました。
この年に大きく変わったことがあります。
それが重心の考え方でした。
以前は力強く走ろうとしていました。
ストライドを大きくしようともしていました。
しかし結果は思うように出ませんでした。
そこで重心を高く保ち、必要以上に力を使わないことを意識しました。
そしてストライドを広げることよりも、腰の切り替えのキレを重視するようになりました。
すると動きが大きく変わりました。
力で押し込むのではなく、身体を素早く切り替えながら前へ進む感覚です。
これが現在の私の指導のベースにもなっています。
なぜ今は選手に考えさせるのか
現在、私は選手に答えを与えすぎないようにしています。
もちろん必要な時には伝えます。
しかし最終的には自分で考えてほしいと思っています。
その理由は高校時代の自分自身にあります。
私は練習の意味を理解しようとしませんでした。
理解できないこともたくさんありました。
しかし今になって振り返ると、当時の先生は本当に高いレベルの技術指導をされていました。
当時は理解できなかったことが、社会人になって競技を続けたことで少しずつ分かるようになったのです。
だからこそ今の選手たちには、自分から考え、自分から質問できる選手になってほしいと思っています。
高校時代の自分に伝えたいこと
もし高校時代の自分に一つだけ伝えられるなら、
「先生に聞け」
と言います。
分からないなら聞けばよかった。
なぜこの練習をするのか。
何を身につけたいのか。
どういう感覚を目指しているのか。
もっと質問していれば、もっと早く成長できたかもしれません。
当時の私は、とにかく速くなりたいという気持ちはありましたが、練習の意味を深く考えてはいませんでした。
しかし今振り返ると、高校時代の先生は本当に高いレベルの技術指導をされていました。
当時は理解できなかったことが、社会人になって競技を続ける中で少しずつ分かるようになりました。
だからこそ今は、選手たちにも「考えること」の大切さを伝えています。
結果が出なかったからこそ今がある
不思議なものですが、もし高校時代に100mで10秒台を出していたら、今も陸上を続けていたかは分かりません。
もしかすると満足して競技をやめていたかもしれません。
指導者になろうとも思わなかったかもしれません。
高校時代の私は、自分が将来母校で指導をすることになるなんて想像もしていませんでした。
社会人になって競技を再開し、自分自身が試行錯誤しながら成長し、その経験を選手たちに伝える立場になる。
そんな未来は全く想像していませんでした。
高校時代は「もっと速くなりたい」と思いながら走っていましたが、今振り返ると、その時に思うような結果が出なかったことにも意味があったのかもしれません。
何がきっかけで人生が変わるかは本当に分からないものです。
だからこそ今の選手たちにも、目の前の結果だけで競技人生を判断してほしくないと思っています。
高校で結果が出ても出なくても、その経験は必ずどこかでつながっていく。
私自身がその一例なのかもしれません。
まとめ
私は特別な才能を持った選手ではありませんでした。
高校時代の100mベストは11.08。
そこから社会人になって10.70まで伸びました。
もちろん練習もしました。
しかし一番変わったのは考え方だったと思います。
自分の走りを見て、自分で考えて、修正する。
その積み重ねが今の記録につながっています。
そして、その経験は現在の指導にも生かされています。
速くなるために必要なのは、ただ練習することだけではありません。
考えながら練習すること。
そして競技を続ける中で、自分なりの答えを見つけていくこと。
それが遠回りのようでいて、実は一番大きな成長につながるのではないかと思っています。
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