陸上を始めると必ず言われる
陸上を始めると、多くの選手が一度は言われます。
「もっと前傾しろ」
私も何度も言われてきましたし、選手にも伝えることがあります。
しかし、陸上を始めたばかりの選手ほど、この言葉を勘違いしやすいように感じます。
前傾とは上半身を倒すことではない
前傾という言葉を聞くと、
上半身を前に倒そうとする選手がいます。
しかし私が考える前傾は少し違います。
前傾とは、
足から頭まで一本のラインを作ったまま身体を倒すこと
です。
腰を曲げることでもありません。
背中を丸めることでもありません。
身体全体が一本の棒になったような状態で前に倒れていきます。
なぜ前傾が必要なのか
私が前傾を大切だと思う理由は、
不安定を作るため
です。
多くの人は安定した状態を良いことだと思っています。
しかし短距離では少し違います。
速く前に進むためには、
前方向への不安定さが必要です。
前傾を作ることで重心が前へ移動します。
その結果、
自分で頑張って進もうとしなくても、
身体が前へ進もうとします。
私は前傾を、
重心を前へ進めるための技術
だと考えています。
よくある失敗① 上半身と下半身が分離する
高校生で最も多い失敗がこれです。
上半身だけ前に倒れる。
一方で下半身は地面に対して垂直に近いまま。
結果として身体が腰のあたりで折れ曲がったような形になります。
私は前傾を「頭から足まで一本のライン」と考えています。
そのため、上半身だけ前に倒れている状態は前傾ではありません。
また、スタート直後によく見られるのが、下半身だけ先に起き上がってしまうケースです。
本人は前傾しているつもりでも、実際には身体のラインが崩れ、重心が前へ進みにくくなっています。
これでは前傾ではなく、ただの前かがみになってしまいます。
よくある失敗② 怖くなって早く起きる
前傾は不安定な状態です。
だから怖くなります。
特にスタート直後は、
転びそうな感覚になる選手もいます。
その結果、
早い段階で身体を起こしてしまいます。
しかし、それではせっかく作った前方向への重心移動を失ってしまいます。
よくある失敗③ 首だけ下を向く
陸上を始めて間もない選手によく見られます。
「前傾しろ」
と言われた結果、
首だけ下を向いてしまうのです。
しかし首を下げても前傾にはなりません。
身体全体が一本のラインになっていることが大切です。
私が見ているのは角度ではない
前傾というと、
何度が正しいのか気になる選手もいます。
しかし私は角度そのものをあまり見ていません。
見ているのは、
身体が一本のラインになっているか。
重心が前へ進んでいるか。
上半身と下半身が連動しているか。
そちらの方が大切だと思っています。
最後に
私は前傾を、
速く走るために無理やり作る姿勢だとは思っていません。
前傾とは、
重心を前へ進めるための技術です。
そして、
そのために必要なのが不安定さです。
だから私は選手に、
「もっと身体を倒せ」
ではなく、
「一本のラインのまま前へ進もう」
というイメージで伝えることが多いです。
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